この記事のポイント

  • 初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日
  • 初診日は受給資格、年金額、加入制度を決める最重要事項
  • 初診日の証明には「受診状況等証明書」が必要
  • カルテがない場合は第三者証明や参考資料で対応可能
  • 初診日が不明でも諦めずに専門家に相談することが重要

1. 初診日とは何か?

初診日の定義

初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」のことです。

具体例

  • うつ病の場合: 心療内科や精神科を初めて受診した日
  • 脳梗塞の場合: 脳梗塞の症状で初めて病院を受診した日
  • 糖尿病性腎症の場合: 糖尿病で初めて医師の診療を受けた日(腎症の発症日ではない)

初診日の基準

初診日は以下のように判断されます:

ケース 初診日の考え方
同一の傷病 最初に医師の診療を受けた日
相当因果関係がある傷病 前の傷病で初めて医師の診療を受けた日
転院した場合 最初の病院を受診した日
健康診断で異常が見つかった場合 健康診断日(診断された日)

注意:相当因果関係

前の傷病が原因で後の傷病が発症した場合、前の傷病の初診日が基準になります。

例:

  • 糖尿病 → 糖尿病性網膜症(初診日は糖尿病の初診日)
  • 統合失調症 → うつ病(初診日は統合失調症の初診日)

2. 初診日が重要な3つの理由

理由1:受給資格が決まる

初診日に以下のいずれかの年金制度に加入していることが必要です:

  • 国民年金(20歳以上60歳未満)
  • 厚生年金(会社員・公務員)
  • 20歳前または60歳以上65歳未満の国内居住者

初診日に未加入だった場合

初診日に年金制度に加入していなかった場合、障害年金は受給できません

理由2:保険料納付要件が決まる

初診日の前日時点で、以下のいずれかを満たす必要があります:

  • 原則: 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間、保険料を納付または免除されている
  • 特例: 初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない(初診日が2026年4月1日前の場合)

理由3:年金額が決まる

初診日に加入していた制度によって、受給できる年金の種類と金額が変わります:

初診日の加入制度 受給できる年金 年金額(1級の目安)
国民年金 障害基礎年金 約102万円/年
厚生年金 障害基礎年金 + 障害厚生年金 約150万円〜200万円/年
20歳前 障害基礎年金(所得制限あり) 約102万円/年

3. 初診日の証明方法

受診状況等証明書

初診日を証明するための最も重要な書類が「受診状況等証明書」です。

受診状況等証明書とは

初診の医療機関(診断書を作成する医療機関と異なる場合)に作成してもらう書類です。

  • 初診日
  • 傷病名
  • 受診期間
  • 紹介先医療機関

などが記載されます。

受診状況等証明書が不要なケース

以下の場合は、受診状況等証明書は不要です:

  • 初診から現在まで同じ病院にかかっている場合 → 診断書だけでOK
  • 初診日が20歳前の場合 → 20歳前であることが証明できればOK

受診状況等証明書の取得方法

1

初診の医療機関に連絡

電話で「障害年金の申請に必要な受診状況等証明書を取得したい」と伝えます。

2

用紙を受け取る

年金事務所で用紙をもらうか、ダウンロードして病院に提出します。

3

作成を依頼

医療機関にカルテの確認と書類作成を依頼します(通常1〜2週間)。

4

受け取り

完成したら病院で受け取ります(文書料:数千円程度)。

4. 初診日が不明・証明できない場合の対処法

ケース1:カルテが廃棄されている

カルテの保存期間は5年間です。それ以前の受診記録は残っていない可能性があります。

対処法

  1. 受診状況等証明書が添付できない申立書を提出
    • カルテが残っていない理由を説明
    • 初診日の推定根拠を記載
  2. 第三者証明を活用
    • 家族、同僚、友人などによる証言
    • 複数名の証言があると信憑性が高まる
  3. 参考資料を提出
    • 診察券
    • お薬手帳
    • 領収書
    • 健康診断結果
    • 日記やメモ

ケース2:複数の医療機関を受診していて初診がどこか分からない

うつ病などの精神疾患では、複数の医療機関を転々とするケースが多くあります。

対処法

  1. 受診歴を時系列で整理
    • いつ、どこの病院を受診したかをリストアップ
    • 診察券、お薬手帳、領収書などを確認
  2. 各医療機関に受診状況等証明書を依頼
    • 最初の病院から順番に確認
    • カルテが残っている最も古い病院を特定
  3. 紹介状の経路を確認
    • どこからどこへ紹介されたかを確認
    • 紹介元が初診の可能性が高い

ケース3:初診日がずっと昔で覚えていない

対処法

  1. 家族や友人に聞く
    • 「いつ頃から体調が悪かったか」
    • 「いつ頃病院に行き始めたか」
  2. 当時の生活状況から推定
    • 学生だった、社会人だった
    • 転職や引っ越しの時期
    • 結婚や出産の時期
  3. 保険証の記録を確認
    • 国民健康保険 → 自営業・無職の時期
    • 社会保険 → 会社員の時期

5. 第三者証明の活用

第三者証明とは

初診日を証明する医療機関のカルテ等がない場合に、家族以外の第三者が「いつ頃から体調が悪くなり、病院に通い始めたか」を証明する書類です。

第三者証明の証明者

証明者 有効性 備考
職場の同僚・上司 ◎ 非常に有効 勤務状況を知っている
友人・知人 ○ 有効 定期的に会っていた人
民生委員 ◎ 非常に有効 公的な立場の人
近所の人 △ 場合による 具体的な状況を知っている必要
家族 × 無効 家族の証明は認められない

第三者証明で記載する内容

  • いつ頃体調が悪くなったか
  • どのような症状があったか
  • いつ頃病院に通い始めたか
  • どこの病院に通っていたか
  • 証明者との関係性接触頻度

第三者証明の注意点

  • 複数名(できれば3名以上)の証明があると信憑性が高まる
  • 証明内容に矛盾がないように注意
  • 具体的なエピソードを記載すると効果的

6. 参考資料として有効なもの

資料 有効性 内容
診察券 初診日の記載がある場合は決定的
お薬手帳 処方日と医療機関名が記載
領収書 受診日と医療機関名が記載
健康診断結果 異常が指摘された日が初診日になる場合も
入院記録・退院サマリー 入院前の受診歴が記載されている場合も
紹介状 紹介元の病院と受診時期が分かる
日記・メモ 他の資料と組み合わせると有効

資料の探し方

  • 自宅を探す: 古い診察券、お薬手帳、領収書が残っていないか
  • 家族に聞く: 受診した病院や時期を覚えていないか
  • 医療機関に問い合わせる: カルテは廃棄されていても受診記録が残っている場合も
  • 保険証の記録: 市区町村役場で保険証の加入履歴を確認

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 初診日が古すぎて証明できない場合、障害年金は受給できませんか?

A. 諦める必要はありません。第三者証明や参考資料を組み合わせることで、初診日を推定して認められる可能性があります。

ポイントは「いつ頃」「どこで」「どのような状況だったか」を具体的に説明することです。

Q2. 初診日が20歳前の場合、証明は必要ですか?

A. 20歳前であることが証明できれば、厳密な初診日の特定は不要です。

例えば、「15歳の頃から通院していた」ということが分かれば、具体的な日付は不明でも20歳前の障害として認められます。

Q3. 初診日と障害認定日は同じですか?

A. 違います。

  • 初診日: 初めて医師の診療を受けた日
  • 障害認定日: 初診日から1年6ヶ月経過した日(または治った日)

障害認定日以降に障害年金の申請ができます。

Q4. 初診日が厚生年金加入中だったか、国民年金だったかで年金額は変わりますか?

A. 大きく変わります。

  • 厚生年金加入中: 障害基礎年金 + 障害厚生年金(年額150〜200万円程度)
  • 国民年金: 障害基礎年金のみ(年額約81〜102万円)

そのため、初診日がいつだったかを正確に証明することが非常に重要です。

Q5. 初診日の証明で社労士に依頼するメリットは?

A. 以下のようなメリットがあります:

  • 複雑な受診歴の整理: 複数の医療機関を受診している場合、どこが初診かを正確に判断
  • 第三者証明のサポート: 効果的な証明内容をアドバイス
  • 参考資料の選定: どの資料が有効かを判断
  • 申立書の作成: 説得力のある内容で作成
  • 不支給リスクの軽減: 初診日の証明不足で不支給になるリスクを減らせる

まとめ

  • 初診日は障害年金申請で最も重要なポイント
  • 初診日によって受給資格・年金額・加入制度が決まる
  • 初診日の証明には受診状況等証明書が必要
  • カルテがない場合は第三者証明・参考資料で対応可能
  • 初診日が不明でも諦めず、専門家に相談することが重要

初診日の証明は障害年金申請の中で最も難しい部分の一つです。特にカルテが残っていない場合や、受診歴が複雑な場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

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