うつ病で障害年金は受給できる?
受給条件と申請のポイントを解説
うつ病で障害年金を受給できるかどうか、不安に思っていませんか?実は、うつ病でも一定の条件を満たせば障害年金を受給できます。この記事では、うつ病での受給条件、診断書のポイント、働きながらでも受給できるのかなど、詳しく解説します。
1. うつ病でも障害年金は受給できる
結論から言うと、うつ病でも障害年金を受給することは可能です。
うつ病での受給実績
精神疾患での障害年金受給者は年々増加しており、うつ病(気分障害)での受給は珍しくありません。適切な申請を行えば、受給できる可能性は十分にあります。
ただし、単に「うつ病と診断された」だけでは受給できません。日常生活や労働に一定以上の制限があることを証明する必要があります。
2. うつ病での受給条件
うつ病で障害年金を受給するには、以下の基本的な条件を満たす必要があります。
初診日の要件
うつ病で初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していること。
保険料納付要件
初診日の前日において、一定期間の保険料を納付または免除されていること。
障害状態の要件
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)に、障害等級に該当する程度の障害の状態にあること。
- 日常生活に著しい制限がある
- 労働に制限が加わる
- 長期療養が必要である
3. 障害等級の目安
うつ病での障害等級は、日常生活や労働の制限の程度によって決まります。
1級(重度)
日常生活が著しく制限される状態
- 身の回りのことができない、または著しく困難
- 食事や入浴に介助が必要
- 外出がほとんどできない
- 対人関係が構築できない
- 労働は不可能
- 障害基礎年金1級:約102万円/年(月額約8.5万円)
- 障害厚生年金1級:報酬比例+約102万円/年
2級(中等度)
日常生活に制限が加わる状態
- 身の回りのことは何とかできるが、援助が必要なことがある
- 外出は付き添いが必要、または一人では困難
- 対人関係に困難がある
- 労働は著しく制限される、または困難
- 配慮のある環境でのみ労働可能
- 障害基礎年金2級:約82万円/年(月額約6.8万円)
- 障害厚生年金2級:報酬比例+約82万円/年
3級(軽度)
労働に制限が加わる状態(厚生年金のみ)
- 日常生活は概ね自立しているが、援助が必要なことがある
- 労働に制限が加わる
- フルタイムの労働は困難
- 職場での配慮や支援が必要
- 障害厚生年金3級:報酬比例(最低保障額:約59万円/年)
重要なポイント
障害等級は、「病名」ではなく「日常生活や労働の制限の程度」で判断されます。同じうつ病でも、症状の重さや生活への影響度によって等級が異なります。
4. 診断書のポイント
うつ病での障害年金申請では、診断書の内容が非常に重要です。
診断書で重視される項目
1. 症状の詳細
- 抑うつ気分の程度
- 意欲の低下
- 思考力・集中力の低下
- 不眠や過眠
- 食欲不振
- 自殺念慮の有無
2. 日常生活能力の程度
- 適切な食事摂取
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達
- 対人関係
- 身辺の安全保持・危機対応
- 社会性(規則やマナーの遵守)
3. 現在の治療状況
- 通院頻度
- 服薬内容
- 入院歴
- 治療の効果
診断書作成のアドバイス
- 日常生活の困難さを正確に伝える:医師に、できないことや困っていることを具体的に伝えましょう。
- 良い日・悪い日の差を説明:調子の良い日だけでなく、悪い日の状態も伝えることが重要です。
- 周囲のサポートを伝える:家族の援助を受けている場合は、その内容を伝えましょう。
- 診察日の状態だけでなく:普段の生活の状況を記録したメモを持参するのも有効です。
5. 働きながらでも受給できる?
結論:はい、働きながらでも障害年金を受給できます。
働いていても受給できるケース
- 配慮のある環境でのみ働ける(短時間勤務、軽作業のみなど)
- 家族や職場の援助を受けながら働いている
- 頻繁に休職や欠勤がある
- 労働時間や業務内容に制限がある
- 職場での対人関係に困難がある
受給が認められた事例(一般例)
事例1:パート勤務のケース
状況:週3日、1日4時間のパート勤務。頻繁に欠勤があり、職場の配慮を受けている。
結果:障害厚生年金2級が認定
理由:労働時間が短く、頻繁な欠勤があり、職場の配慮が必要な状態であることが認められた。
事例2:在宅勤務のケース
状況:在宅で軽作業のみ。外出や対人関係が困難で、家族のサポートを受けている。
結果:障害基礎年金2級が認定
理由:在宅でのみ労働可能であり、日常生活に制限があることが認められた。
事例3:就労支援を受けているケース
状況:就労継続支援A型事業所で働いている。短時間勤務で、支援員のサポートが必要。
結果:障害基礎年金2級が認定
理由:一般就労が困難で、福祉的な支援を受けながらの労働であることが認められた。
注意点
フルタイムで一般就労している場合や、収入が高い場合は、障害等級が低く認定されるか、不支給となる可能性があります。ただし、これも個別の状況によりますので、まずは相談してみることをおすすめします。
6. 申請のタイミング
うつ病での障害年金申請には、適切なタイミングがあります。
基本的なタイミング
初診日から1年6ヶ月後(障害認定日)が申請の基本タイミングです。
- この時点で障害等級に該当すれば、遡って受給できます
- 最大5年分が遡及して支給されます
事後重症請求
障害認定日の時点では軽度だったが、その後悪化した場合は「事後重症請求」として申請できます。
- 申請日の翌月分から受給開始
- 遡及はされない
- 65歳の誕生日の前々日までに申請が必要
申請タイミングのアドバイス
- 早めの相談を:初診日から1年程度経過したら、社労士に相談してみましょう
- 治療を継続:定期的な通院と服薬の継続が重要です
- 記録を残す:日常生活の困難さを記録しておくと、申請時に役立ちます
7. よくある質問
Q. 軽症のうつ病でも受給できますか?
A. 軽症の場合は受給が難しいことが多いです。障害年金は「日常生活や労働に制限がある」ことが条件なので、症状が軽く、日常生活に大きな支障がない場合は認定されない可能性が高いです。
Q. 診断書は精神科でないと書いてもらえませんか?
A. 心療内科でも可能です。また、初診が内科などの場合でも、現在精神科や心療内科に通院していれば、そこで診断書を作成してもらえます。
Q. うつ病と診断されてから何年も経っていますが、今から申請できますか?
A. はい、可能です。ただし、初診日の証明が必要なので、初診の医療機関のカルテが残っているか確認が必要です。カルテの保存期間は通常5年なので、早めの対応をおすすめします。
Q. 障害者手帳を持っていないと申請できませんか?
A. いいえ、障害者手帳は不要です。障害年金と障害者手帳は別の制度なので、手帳がなくても申請できます。逆に、手帳を持っていても障害年金が受給できるとは限りません。
Q. 受給が決まったら、ずっともらい続けられますか?
A. 障害年金は原則として、1〜5年ごとに更新(診断書の提出)が必要です。症状が改善すれば支給停止となることもありますし、悪化すれば等級が上がることもあります。
うつ病での障害年金申請は、専門家にご相談ください
うつ病での障害年金申請は、診断書や申立書の内容が非常に重要です。
田村社会保険労務士事務所では、自身も障害年金受給者である社労士が、親身になってサポートいたします。
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